日別アーカイブ: 2015年12月8日

工学部を出た社会人が教員免許(高校一種 工業・情報)を取る方法

私は社会人になってから教員免許(高校一種)を取得しました。同じように社会人になってから教員を目指す方から時々聞かれるので、ここで私が免許取得した当時のお話をしようと思います。

通常、教員免許は教育学部に所属している学生が単位取得と教育実習や介護実習を終えて、卒業時に交付されるのが一般的です。私は工学部でしたし、在学当時に教員になる気はまったくありませんでした。そんな私が必要に迫られて色々調べた結果、幸運にも半年程度で教員免許を取得することができました。

はじめに、県の教育委員会に相談をしました。そこで、自分の取得している単位、不足している単位を明らかにしてもらいました。県によって判断が異なったりすることがあるようなので、教育委員会への確認は重要です。

幸運だったのは、私が卒業した工学部が教職課程を持っており、修めた単位を使って「工業」の免許が取得できる点でした。「工業」の免許はやや特殊で、本来であれば教育実習や介護体験でおさめるべき単位を専門科目の単位で置き換えることができます。つまり、教育実習や介護体験などをせずに高校一種の免許状を取得することが可能なのです。

ただ、教職に必要な単位もいくつかあります。それは「日本国憲法」「体育」「職業指導」です。私は在学時にこれらの単位を取得していなかったので、通信制の大学と、集中講義を利用して科目等履修生として単位を取得することにしました。

通信制の大学はいくつかあり、時間や場所を縛られずに単位取得ができる点が何よりのメリットです。しかも、4月入学以外に、秋入学ができる大学もあります。単位を認定されるための試験については、大学指定の場所へ行って受験する必要がありますが、より近い会場を選べる場合もあります。「体育」の科目についてもレポートと試験で単位取得できる場合があります。

私が調べた限り、「工業」に必要な「職業指導」の単位を通信制の大学で取得できる大学はなかったので、より近くで集中講義がある大学を探しました。とりあえず、工学部・理工学部のある近隣の国公立大学に電話をかけまくって集中講義の有無を聞いてまわりました。

必要な単位を一通りおさめ、大学から「卒業証明書」「学力に関する証明」を発行してもらいます。その他、教育委員会から指定された書類一式を用意して一緒に送付すればあとは授与されるのを待つことになります。

「情報」については「工業」の免許が授与されたあと、「工業」を基礎資格として申請します。これには「情報」の科目申請に必要な単位を別途おさめなければなりません。

「情報」の単位修得自体は、私のようにSE・プログラマー経験のある方にとってはそれほど抵抗はないと思います。あくまで私の感覚ですが、国家試験の基本情報技術者程度の知識とプログラマーとして2年程度の経験があれば単位修得は明るいでしょう。ただ、初学者にはかなり辛いと思います。特にプログラミングやSQL(データベース)等、実技系については内容が特殊なので、ある程度の感性が身につくのには時間がかかると思います。一緒に勉強していた家庭科や社会科の先生方も情報の単位習得については2年くらいを見込んでいる方がほとんどでした。(実際、私が20歳くらいで学部生だったころ、一番成績が芳しくなかったのはプログラミングでした…)

また、「情報」は基礎資格(工業)を根拠で申請したので、「工業」のみの申請のときとは違い、勤務先の校長先生から人物証明を書いていただいたり、健康診断書が必要だったりと、単位取得以外に必要な手続きがありました。

これまでお話したことは、あくまでその当時の私の場合の話で、都道府県やタイミングによって変わると思います。そのため、文中ではあえて具体的な免許法や単位数については触れていません。手続きとして煩雑なものが多いので、自分で確認・管理しながらやっていかないといけません。ちょっと心細いですが、気持ちを強くもって臨みましょう。

そして何より、お金と時間がかかります。入学料・授業料以外にも、試験・講義のための旅費や参考書等、まとまった金額が必要です。加えて、仕事をしながらのレポート作成や試験勉強については相応にプライベートの時間を割くことになりますから、家族の理解が不可欠です。

社会人で教員免許取得を目指す苦労は並々ならぬものがありますが、同じような境遇で免許取得を目指す方の参考になることがあれば幸いです。